オーストラリアの熱帯雨林

90万ヘクタールに広がるオーストラリアの熱帯雨林は、世界各地の自然環境の中でも生態学的に最も特筆すべき地域として国際的に知られています。この地に生息する植物の種の多さと多様性は正に驚異的です。

クイーンズランド北部の500kmにも及ぶ海岸線に横たわるように広がるこの熱帯雨林は、現存する地球最古の雨林であり、かつてはオーストラリア全土を覆っていました。

何百万年以上に起きた気候と地殻の変動により、現在この熱帯雨林は北部海岸線から大分水嶺山脈までの範囲で、北はクックタウンから南はタウンズビルの間だけの限られた地域で生息するようになりました。

現在、オーストラリア全土に占める熱帯雨林の割合は、わずか0.1%にも満たないものです。

このように規模としては比較的小さいものの、熱帯雨林には驚くほど多種の生物が生息しています。オーストラリアの動植物の環境的変化や進化の過程を四億一千五百万年以上前までさかのぼることができる生きた記録として、その価値はきわめて貴重です。

この熱帯雨林が確実に次世代に残り保護されていくよう、1988年に世界遺産として登録されました。

熱帯雨林に関する主要データ

熱帯雨林として定義されるためには、年間最低1.3mの降水量が必要です。オーストラリアの熱帯雨林地域の年間降水量は平均で1.2~3mであり、このうち60%は12月から3月までの夏季の降水量です。


この地域には、以下のものを初めとする210科目、約2,260種もの植物が生息しています:

  • オーストラリアに生息するシダ類の65%
  • オーストラリアに生息するソテツ類の21%
  • オーストラリアに生息するラン属の30%

熱帯雨林は、オーストラリアのさまざまな動物たちにとっての生息地でもあります:

  • オーストラリアに生息する哺乳類の36%
  • オーストラリアに生息する有袋類(ツリーカンガルー、ポッサムなど)の30%
  • オーストラリアに生息する蝶種の60%
  • オーストラリアに生息する鳥類の50%
  • オーストラリアに生息するカエル、トカゲの29%
  • オーストラリアに生息する淡水魚の41%
  • オーストラリアに生息するコウモリ類の58%

世界遺産として登録された地域には、希少なあるいは絶滅の危機に瀕した植物が348種以上も保護されています。


また同地域には、全世界に現存する原始時代の顕花植物群28種のうち16種が生息しています。


この地域に生息する最古の木は樹齢3000年を越えるものもあります。また木は高さは最高で60mにも達します。。


飛べない鳥の中では世界最大のものの一つであるヒクイドリ(Southern Cassowary)や、オーストラリアでのカンガルーの中で、最も原型に近いといわれるラムホルツ ツリーカンガルーも、オーストラリア北部の熱帯雨林に生息しています。